【前代未聞!】天皇杯2回戦名古屋グランパスvs奈良クラブのPK戦をやり直しへ

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JFAは6月11日、天皇杯2回戦の名古屋グランパスvs奈良クラブの試合において「担当審判員の明らかな競技規則適用ミスがあった」として、PK戦のやり直しを行うことを発表した。本当にやり直すことになるのであれば前代未聞の出来事である。

問題になった名古屋グランパスvs奈良クラブの試合

問題となった名古屋グランパスvs奈良クラブの試合は6月6日に行われた天皇杯2回戦。名古屋グランパスはボールをキープするも決定的なシーンへとつなげることができなかった。前半45分+4分、FWのシャビエルがミドルシュートを放ち先制に成功。前半を1-0で折り返す。

しかし名古屋の好調は最後まで続かなかった。決定機を決めることができず、一瞬のスキを見抜かれてしまい失点。試合は1-1で延長戦へともつれ込んだ。延長戦でも決着がつかず試合はPK戦へ。

PK戦今大会より国際試合でも取り入れられているABBA方式が採用されており、4-5で奈良クラブが3回戦進出を決めていた。

なぜ”やり直し”なのか(17時以降追記)

JFAは「明らかな競技規則の適用ミス」と言っているが、どこに競技規則の適用ミスがあったのだろうか。実はPK戦の時、奈良クラブの40番の選手がキックの前にワンフェイント入れている部分もある。

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その場では主審によってやり直しが指摘されていたが、実はIFABの定める競技規則の中で「不正なフェイントは警告対象かつ失敗」と明記されていた。

もし、この時点で失敗と去れていたのであれば話は大きく変わる。なぜならその時点で「名古屋グランパスの勝利」になっていたからだ。ABBA方式が採用されており、仮に40番の選手のキックが失敗と記録去れていたのであれば、その時点で2-4で名古屋の勝利になっていた。しかし、やり直しをしたことで5-4で奈良クラブの勝利になっている。

この点が「競技規則の適用ミス」と言っているのかもしれないが、真相は17時の記者会見で明らかにされるだろう。しかし一度成立した試合を覆すということは相当なリスクを背負ったとも解釈できる。今後も事あるごとに再試合が設定されやすくなったということを意味する。

 

【2018年6月12日 0時17分追記】

JFAは11日17時より記者会見を行い、”なぜやり直しになったのか”について説明を行った。事の発端は「3級の審判資格を持つ方からの問い合わせ」で、そこから協議が始まったとのこと。やり直しの理由は上述した通り、40番の選手がフェイントを掛けていたのにも関わらず、キッカーが失格になるというルールが適用されていないことだった。

当初は名古屋グランパスの勝利という通達を出そうとしていたが、PKのやり直しという方法が見つかり、協議員13名の多数決を取り、やり直しを採択した。またPK戦について、「あくまでも試合結果は引き分けであり、勝敗を付けるためにPKを行った。PKは協議外であり、ルールは適用されていなかったので成立していないとみなした」と見解を述べている。

 誤審とルールの適用ミスの違いとは

誤審とルールの適用ミスの違いは何だろうか。例えば、A選手がハンドをしてしまい、主審がそのハンドを見逃したとする。これは

  • ハンドの見逃し→誤審
  • ハンドの見逃し→ハンドというルールを適用ミスをした

このように解釈できる。あくまでも極端な例であるが。Jリーグでは、「主審が誤審をしても主審が絶対である」という前例がある。試合後に検証委員会が開かれ、「あのプレーは誤審だった」と結論づけられてもその決定が覆ることはない(明らかな誤審で出場停止などの処分が科された場合は取り消しになることはある)。

つまり誤審と適用ミスは紙一重であり、JFAの意向次第でどうとでもなるということだ。今回、名古屋グランパスが勝っていれば、”誤審”という形で決着されていたかもしれない。あり得ない話ではあるが、PKのやり直しとすれば世間は驚き、天皇杯に注目があつまると考え、”ルールの適用ミス”としてやり直しをを宣告したことさえ考えられる(そんなことはないと信じたい)

JFAは"やり直し"という勇気ある決断を下した。本来であれば再戦しないといけない誤審は山ほどあるはずだ。それほど非常に興味深い判断であり前代未聞な決定であることに間違いはないだろう。

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