【鳥栖存続危機?!】Cygamesがスポンサーから撤退する

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9月29日の午前1時頃、Twitterである記事が話題になった。それは、「サガン鳥栖からCygamesがスポンサー撤退する」というもの。その背景には、Cygamesの親会社サイバーエージェントがJ2 町田ゼルビアを買収するという報道があるとみられる・・・。

 

 

サガン鳥栖との関係は2015年から

 2015年7月2日、サガン鳥栖公式ホームページより「Cygames社とスポンサー契約を結んだ」と発表された。Cygames社はサイバーエージェント社の子会社で主にモバイル向けゲーム事業を担当している。

当初は2016年1月31日までの契約だったが、更新に更新を重ね2018年現在もスポンサー契約が継続していた。しかし、今回、スポーツ報知が「2018年でスポンサー契約を解消する」と報じたのだ。 

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サガン鳥栖とCygamesは全く縁がないといえばない。Cygamesの社長が佐賀出身で「社長のワガママ」でスポンサーになったのだという。それが、2年以上スポンサー契約が継続されている。

サガン鳥栖の経営情報を見てみると、2014年後の広告収入は7億8,900万円だったのに対し、Cygamesがスポンサーになって以降は12億300万円、16億3,100万円と右肩上がりに伸びた。

つまり、Cygamesが数億円規模のスポンサー料を支払っていることが分かる。これにより、サガン鳥栖は資金が潤いフェルナンド・トーレスなどの有名な選手の獲得に動けた、というのが大半の見方だ。

 

佐賀にスタジアムを改修する話も

 

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(出典:Cygames社プレスリリース

 Cygamesは企業版ふるさと納税制度を使い、サガン鳥栖のホームスタジアム改修資金を援助した。単なる改修工事ではなく、大規模な改修工事になるため多額の費用が必要。佐賀新聞の報道によれば、寄付金は3年間で6億8,600万円。それほど多額の寄付をするのにも関わらず、今回、撤退報道が出るのは腑に落ちない。

 

背景にはJ2・町田の買収があるから?

実はCygamesの親会社・サイバーエージェント社がJ2に属する町田ゼルビアの買収を計画しているという。10月1日にも正式発表される見込みで、一部報道によれば「かん口令」が敷かれているという噂も。

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Jリーグは規約で「同一オーナーの複数クラブの保有を禁止」している。今回のケースでは、サイバーエージェントが町田を買収したとしても、Cygamesはサガン鳥栖とスポンサー契約をしているに過ぎず、規約違反とは言えない。

 それでも、「火のない所に煙は立たぬ」という言葉通り、何かしらの理由で規約違反になってしまうリスクを排除するために、子会社であるCygamesのスポンサー契約を撤退させるよう意向が働いたという見方もできるだろう。

 

サイバーエージェントが町田を買収したらどうなる?

 町田ゼルビアサイバーエージェントが買収した場合、本拠地が渋谷になるのでは?という噂がSNSで上がっている。現在、町田ゼルビアの本拠地は町田市。これがサイバーエージェントの本社がある渋谷に移転するのでは?というもの。

 サイバーエージェントが町田を買収するという話が出たのは、9月28日。その2週間ほど前の9月11日、「渋谷にスタジアム建設の動きがある」という報道が出た。これは渋谷区と東京都が主導で行っているもので、23区初のサッカー専用スタジアムが出来上がる予定になっていた。

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 その所に今回の話だ。サイバーエージェントのホームページには「出資を検討している」、町田のホームページには「決まった事実はない」と両者ともに否定していない。

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サイバーエージェントは、以前、J2・東京ヴェルディに出資(出資割合:48.1%)していたがすでに撤退している。東京ヴェルディも渋谷に移転させる狙いがあって出資していたのであれば、つじつまがあう。未来に向けての投資として考えるのであれば、だが果たして・・・。

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Cygamesが撤退したらサガン鳥栖は?

 おそらくCygamesが撤退しても「サガン鳥栖は変わらない」だろう。フェルナンド・トーレスなど一部高額な選手は放出せざるを得ないかもしれないが、大半の主力選手は引き留めに応じるだろう。

Cygamesが撤退すれば、Cygamesがスポンサーになる前の状態になるだけ。スポンサーになった当時の15年とは状況が異なるため、すぐに悲観的になるのは時期尚早かもしれない。

 

 こういう話が出るのは早すぎるのでは?

 Jリーグがシーズン中にこのような報道が出ることは、まだ早すぎるのではないだろうか。これだけ大々的に報道されてしまっては、選手たちが目にする機会が多くなってしまい試合や練習に集中できなくなってしまうはずだ。言い方は悪いが、プロである彼らに「これほどのこと」で集中を乱されてしまっては意味がない。

 先日、Jリーグからクラブライセンスの付与に関する発表があった。現在、2位につけている町田ゼルビアは来季J2ライセンスしか付与されず、J2でしかプレーできない。このままの順位を保ってもJ1に上がることができないため、今から来年に向けて準備ができるといっても過言ではない。

 

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そこにサイバーエージェントからの出資だ。強力な資金源を手に入れた町田は、サイバーエージェントと共にJ1参入に向けて一歩前進したといえるだろう。

 

企業がJリーグに何らかの形で支援する形が増えている

 ここ最近、さまざな企業がJリーグに何らかの形で顔を出す機会が増えている。例えば、Lancers(ランサーズ・渋谷)は7月にFC東京とスポンサー契約を結んだ。

 

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ほかにも、9月にはGA technologies(渋谷)は川崎フロンターレとスポンサー契約を結んでいる。

GA technologiesの取締役・樋口氏は元々川崎Fのユースチーム出身。トップチームの練習に参加したり、世代別日本代表に選ばれたりしていたがトップチーム入りを果たせず、チームから去っていた。そして取締役としてチームに「恩返しを」とスポンサー契約を結ぶに至ったという。

 

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このようにJリーグを取り巻く環境は変わりつつある。今回、サガン鳥栖からスポンサーが撤退してしまう背景には、親会社がクラブを買収しようとしているなど複雑な事情も含め、それが「Jリーグ」なのだ。Jリーグの歴史は浅く、まだまだ成長途中。このようなモデルが今後も出てくるかもしれない。