【提言】フロンターレのチケットを”抽選制”にしてみては?

2018シーズンもあと1節で終わりを迎える。川崎フロンターレは2連覇を達成した。ここではあまり言及していなかったが、フロンターレのチケットは「プレミアチケット」化してしまったのではないだろうか。

なぜ「プレミアチケット」という言葉を使ったか。そして、なぜこのような「提言」という形のタイトルにしたのか。今回はそれについて語っていきたい。

 チケット争奪戦が物語るものとは

等々力の収容率は85%を超えている

f:id:tanu_f:20180610223436j:plain

々力陸上競技場に収容できる人数は約27,000人である。今年度の平均入場者数(来場者数)は約23,000人。収容率は約85%と驚異的な数値を叩き出している。それゆえにフロンターレ後援会会員先行で発売されるホームゲームのチケット争奪戦が生じてしまった。

川崎フロンターレでは、ホームゲームの開催3週間前の土日に後援会会員に向けて一般販売に先駆けチケットが発売される仕組みがある。フロンターレ後援会会員先行で完売してしまった席種は一般販売には回らない。今までのフロンターレであれば、試合前日に「あ、試合に行けそう!チケット買わなきゃ~」程度のノリで買えていたのだが、Jリーグ王者として臨んだ今シーズンの後半戦より、そんなノリは通用しなくなった。

先行販売初日の午前10時、Jリーグチケット(チケフロ)にて後援会会員先行でチケットが発売される。アウェイエリア(ビジター指定/自由)を除く全席種が売り出されるのだが、午前10時1分にはほとんどの席種で完売を示す「×」が表示される。その間、多くの会員はJチケットのトップページにすら入れず、やっと入れたことには完売しているケースが非常に目立つ。

昨今の等々力人気を考えれば指定席が完売してもおかしくはないし、選手を近くで見たいという需要に応えるピッチサイドが売れるのも分かる。しかし、一番キャパシティがあるホームA・自由が売り切れることは想像に至らなかった。

チケットストリートでの転売が顕著に

f:id:tanu_f:20181006152237p:plain

ケットストリートというサイトをご存知だろうか?チケットストリートはいわゆる「2次流通サイト」で、チケットを持っている人が持っていない人に譲る(=転売)サイトだ。似たようなサイトでチケットキャンプがあったが、諸問題で閉鎖して以降、チケットストリートが伸び始めている。

チケットストリートでは日々、多くのチケットがやり取りされているのだが、中でも人気があるスポーツチケットは「川崎フロンターレ」のものだ。後援会会員先行で販売されたチケットは、午前10時10分に転売が開始される。商品説明には「ホームA・自由」としか書かれておらず、価格は1枚あたり5,000円以上とかなりの高額でやり取りされている。

後援会会員先行で販売されたホームA・自由席のチケット価格は1枚1,900円だが、チケットストリートで転売されているホームA・自由席のチケット価格は1枚5,000円と約2.6倍もの価格で取引されているのだ。当然、席種が変わって来れば転売価格も変わる。指定席のランクが上がれば上がるほど、チケット価格は急騰しメインSSS席のチケットともなれば、3万円で取引されることもあるようだ。

これはかなり問題なのではないか。中にはシーズンチケットを転売に出していたり、朝日新聞を購読している人に向けて配られている(一部抽選)ASA朝日会招待券も高値で取引されている始末だ。クラブとしては何も対策していないのだろうか。

チケットストリート| スマホでもかんたん取引のチケット売買サイト

施策1:チケットのリセール販売

セール販売の仕組みを実験的に取り入れた。シーズンチケットを保有している方を対象に「行けなくなった試合のチケットを引き取ります」というもの。クラブとしても転売対策の一環として行い、一定の成果が出たようだ。譲ってくれた方に対しては、グッズ購入で利用できるクーポン券(チケット価格の半額程度)を進呈している。

リセールで預かったチケットはクラブで適切に処理が行われた後、フロチケ内で再販売が行われる。しかし、現状では「競技場内でのみ」行われている施策なため、目に見える効果といえるかは疑問である。今後、後援会事務所やアズネロなどでも行われるようになれば真価を発揮するだろう。

シーズンチケット限定「競技場リセールサービス」トライアル実施のお知らせ | KAWASAKI FRONTALE

施策2:最終節・磐田戦でクラブが行った対策

田戦でフロンターレはチケット販売時にある”工夫”をしていた。後援会会員先行で販売され完売した席種が一般販売でも販売されていたのだ。例えばバラエティーシートはすべて完売だったのにも関わらず、一般販売では在庫がわずかを示す「△」が表示されていた。筆者は友人のチケット(ホームA)を確保するためにアクセスしたに過ぎないが、これは嬉しいサプライズだったのではないだろうか。

おそらくクラブは、後援会会員先行で販売し転売されている事実を掴んでおり、”在庫調整”という名目で先行販売分を抑え、一定数を一般販売にも流通させたと推測できる。当然、一般販売で販売されたチケットは高値で転売されていたが、チャンスが与えられたという面では評価できる施策だということに疑念の余地はない。

 

tanu-f.hateblo.jp

 

2019シーズンチケットは「抽選」での販売に

f:id:tanu_f:20181127234249j:plain

(引用元:川崎フロンターレ公式ホームページ)

ラブから正式発表があったように、2019明治安田生命J1リーグに向けて販売されているシーズンチケット(以下、シーチケ)は全席種抽選での販売になった。1次・2次・3次と会員ごとに区切られており、昨日(11月26日)に1次抽選の結果が発表された。

一応、念のために申し込み対象者を振り返っておこうと思う。

  • 1次対象者:後援会自動継続会員(口座振替/10月4日までにクレジットカード情報を登録していた人)
  • 2次対象者:後援会会員(自動継続会員でなくても可)
  • 3次対象者:後援会会員(自動継続会員でなくても可)

このように区分されていた。1次対象者は、原則として自動継続会員に絞られていたのだが、法律改正の影響もあり今年度は10月4日までにクレジットカード情報を再登録または登録した後援会会員も自動継続会員として扱われている(10月4日までにクレジットカード情報を再登録しなかった自動継続会員は自動継続会員の資格を喪失し、2次対象に回った)。

1次抽選結果が発表され、2次以降の販売は「ホームA・自由席」のみだということが正式に発表された。はっきり言って異常事態である。クラブによると「例年の2倍以上の応募」が1次抽選に集中したようだ。よって11月22日に発表予定だった1次抽選の結果は26日に延期された。ここに転売屋と呼ばれる転売を行う人が含まれていないことを祈るばかりだが、システム上、一定数の転売屋が含まれているだろう。ここにクラブの失敗点がある

2019シーズンチケット1次販売にお申し込みの方へ抽選発表延期のお知らせ | KAWASAKI FRONTALE

法律改正に伴い、9月までに登録してあったクレジットカード情報をすべて削除するのは仕方がないことだが、「登録者データベース」まで削除する必要はあったのだろうか。もし例年通り、自動継続会員の定義を当てはめるとするならば「前年の12月上旬時点でクレジットカードもしくは口座振替のデータを登録している人」を自動継続会員として扱えば、1次抽選で転売屋をはじき出すことは可能だったはずだ。

それを今年の10月4日時点でクレジットカード情報もしくは口座振替情報を登録してある人を、1次抽選の対象にしてしまったが故に、転売屋が紛れ込んでしまった。断定して書いているつもりはないが、”例年の2倍以上の応募”と聞いて、転売屋が紛れ込んでいることは明らかだと思ったから断定調で執筆した。イニエスタフェルナンド・トーレスJリーグに加入して以降、チケット価格は上昇した。これは今年の6月以降の出来事であり、それ以前は話題にも上らなかった。転売屋もそこまでの数はいなかっただろう。

2次抽選の受付は始まっており、12月5日に締め切られる。結果は12月12日に発表されるが、1次抽選で外れてしまった人も2次抽選に応募すると考えられることから、かなりの倍率になることは間違いないだろう。

「2019シーズンチケット販売方法」について | KAWASAKI FRONTALE

【提言】後援会会員先行販売を”抽選制”にしてみては?

援会会員先行販売を抽選制にしてみるのはどうだろうか。ここまでフロンターレの現状を書いてきたが、本題に入ろうと思う。現在の問題点は、「後援会会員向けの販売にも関わらず、転売屋がチケットを購入し、高値で転売を繰り返している点」にある。

これは「先着で販売するから」起こる問題であって、「抽選」にしてしまえばある程度の解決が見込めるはずだ。例えば、4月1日に行われる試合の前売りチケットを3月10日(後援会会員向け)、17日(一般販売)というスケジュールで販売を行うとする。

3月10日の1週間前の3月3日午前10時から3月9日午後6時までを抽選受付期間とし、抽選に当たった場合にのみ、10日にチケットが受け取れる。

 

こういう仕組みに切り替えてみてはどうだろうか。フロンターレではすでに、入場前待機列抽選(通称:朝抽選)で上記のシステムを導入済だ。チケットの購入にも同様のシステムを取り入れるのは難しい話ではないだろう。

もし、後援会会員向けの発売日から起算し2日後(上記スケジュールの3月12日)までに引き取りがない場合は、翌日(3月13日)の午後12時から先着で販売を開始すれば、後援会会員全員に”チャンス”が与えらえることにある。

 この制度の最大のポイントは「転売されるリスクの低減化」だ。抽選にすることで、転売屋がすべて買い占めてしまうことを防げ、本当に試合を見たい人に”チャンス”が与えられる。当然、抽選ゆえに外れてしまう会員も出てくるだろうが、そこは”抽選”という特性を理解してほしい。これが筆者が考える川崎フロンターレのチケット転売問題対策である。

※本記事は筆者の考えを述べたものである。所属する団体の意見ではない。誹謗中傷等が確認できた場合は速やかに公的機関等へ通報するとともに、対処を検討することを予め述べておく。

にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村