ハーフシーズンチケットも完売・・・。等々力はすでに「限界」か

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(Photo by 筆者)

後援会の会員数が「4万人を超えた」。6月4日に川崎フロンターレ公式ホームページよりそんな情報が発信された。まずこの画像を見てほしい。

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(公式ホームページより引用)

これは川崎フロンターレ後援会の年度別会員数の伸び状況を示すグラフである。2008年に2万人を突破して以降、3万人を突破したのは8年後の2016年。そこからわずか2年で4万人を達成した。この伸び率は”極めて異常”というほかない。なぜここまで川崎フロンターレの後援会会員数は伸びたのか。今回は徹底的に検証・持論を展開していきたい。

 

会員数の伸びはチームの成績と連動

元々川崎フロンターレは”シルバーコレクター”と呼ばれる存在だった。Jリーグ屈指の攻撃力を擁しながらもあと一歩のところでタイトルには手が届かずという状況が何年も続いた。チームのバンディエラ(注:中心人物)である中村憲剛選手は「自分がいるうちはタイトルは取れないと思った」と発言している。

実際、後援会の会員数の伸びとチームの成績は連動している。2008・9年は2位が連続しており、10年こそ1位を!と思われたシーズンに3000人も会員数が増えている。反対に相馬直樹元監督時代に起きた暗黒の7連敗の翌年は会員数が減っている。

ここ数年、Jリーグタイトル以外にもJリーグカップ杯や天皇杯などで苦杯をなめている。そこにはいつも”鹿島アントラーズ”の存在があった。

2017年12月2日、1位鹿島アントラーズとの勝ち点差は2で迎えた最終節。川崎フロンターレが勝って鹿島アントラーズが引き分け以下というプレッシャーのかかる状況の中で、見事川崎フロンターレは勝ち切った。一方の鹿島アントラーズは引き分けた。

ついに因縁の鹿島アントラーズを逆転で上回り優勝を成し遂げた。そして迎えた新シーズン。連覇という大きな期待を背にチームは始動しており、前半戦終えて第3位。1位の広島とは勝ち点差10も離れているが、まだ追い越せる状況であることに違いはなく、スターティングメンバーも層が厚くなりつつある。

夏の暑さで体力を消耗しやすい時期は「メンバーが変わってもプレーの質を落とさないサッカーが重要になってくるだろう。そのためにもサポーターは声を上げ、選手を鼓舞し続けなければならず、時には厳しい声も必要であると考える。

 ハーフシーズンチケットが完売?!等々力のキャパオーバーは間近

2018年6月8日(金)よりハーフシーズンチケットが発売された。かねてよりシーズンチケットの販売終了はアナウンスされており、キャパ(注:キャパシティ)の問題で発売が終わるからハーフシーズンチケットの販売は予定されていないだろうというのが大方の見解だった。

しかし川崎フロンターレはハーフシーズンチケットを300席限定(ホームAゾーン)で販売を始めた。筆者は少し遅れて申し込みをすることにした。すると出てきた画面はこれ。

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(photo by 筆者)

 

はい。「シーズンチケットの予定販売数が終了」という文字。予想はしていましたが、ハーフシーズンチケットですら買えない状況が出てきました。等々力の入場可能数は「約26,000人」。このうちホームAゾーンが設置されているエリアは大体1万人から1万1千人くらいでしょうか。

ここ数試合の入場者数は2万人越え。チケットも一般販売されてすぐに「完売」という状況を見るとすでに等々力のキャパは限界であるといえるのではないでしょうか。等々力の所有者である川崎市は改築計画を打ち出していますが、改築が終わるのは2022年頃とされており、少なくともあと4年間はこのスタジアムで我慢しなくてはなりません。最も工事が始まってしまうと、さらに観客席が減ってしまう恐れもありますので、争奪戦は激しさを増す可能性もあります。

しかし、いざ試合に行ってみると「空席」が目立つエリアがあります。それはメインスタンドの指定席です。完売といわれている割に「ごっそり空席」があるエリアが散見されます。ポツポツ空席があるのであれば、「あー来れなかったんだな」で済みますが、ごっそり1列とか2列の空席が目立つと「なぜ?」という状況になります。

おそらくですが「転売目的」で買った人が捌き切れていないというのが現状ではないでしょうか。筆者も実際にヤフオクやメルカリなどを見てみましたが、等々力のチケットはプレミアがついて高値で転売されていました。断じて許せない行為です。

川崎フロンターレは試合によって後援会会員限定のチケット(無料招待券)の使用を認めているなど、無料券の存在があります。これはこれでありがたい話なのですが、これが逆にホームAゾーン(自由席)の収容率を圧迫している気がします。もしかしたら来年以降、無料券の存在がなくなる恐れも否定できません。

少しでも多くの人が座れるようにと、過剰な席取りに対し抜本的な対策を講じ始めていますが、観客はGゾーン(注:応援ゾーン)の近くで見たいという想いがあり、中々対策に効果は出ていません。また入場にチケットがいらない未就学児用の席を確保(席を取るならチケットが必要)している親が居たり、席を荷物置き場にしている方がいるなどいくら席つめ隊が居たとしても問題解決には至っていません

特にゴール裏などは”席”という概念がないため、1人で2人分のエリアを専有していたりブルーシートを広げてエリアを確保したりと無法地帯になっている部分も見受けられました。ゴール裏は三協フロンティア柏スタジアムのように、1人の区画をもっとはっきりと示せば多くの人が観戦できるようになるのではないでしょうか。

朝抽選(列抽選)も問題へ

川崎フロンターレでは朝抽選(注:朝に来るから朝抽選と呼ぶ)といって、シーズンチケット保有者に向けて「先行入場時の入場順番待ちの抽選(通称:列抽選)」を行っています。専用サイトから試合前日の18時までに申し込みを行い、当日朝6時30分から7時までに等々力に行き、チェックを済ませて試合開始2時間半前にもう一度並び入場を待つという慣習(?)があります。

この列抽選、実は後援会会員であればシーズンチケットを持っていなくても参加することができるため、親子連れで親子別々に後援会に入り、良い番号で入場して席を取るということも可能です。今シーズン、上述したような理由で席の確保が難しくなり席を確保したいがために、家族で後援会に入会して席を取るという人も増えているかもしれません。これはこれで由々しき問題です。

さらに朝が早いため車で来て路上駐車する人も後を絶ちません。運営側もこの問題は認識しており、「路上駐車した人にはイエローカードを付与する」とアナウンスしていますが一向に減る気配がありません。なぜなら「イエローカードが付与されたことがないから」です。効果がない施策を打ち出しても効果が出るはずがありません

地元住民の理解の上に成り立っている等々力での試合。近隣住民から朝抽選の苦情が出ている今、抜本的な対策を講じないことには今後、等々力での試合開催は難しくなるかもしれません。

列抽選の方法を変えてみたら?

そこで提案したいのが、列抽選のシステムの見直しです。朝6時半に集合というシステムを取るから路上駐車などの問題が起きるわけで、試合開始3時間半前に集まってチェックさえ受けさせてしまえば良いのではないでしょうか。

ふろんパークなど立派な充実したアトラクションがあるのですから、3時間半前にチェックを受け解散。ふろんパークなどで遊んでもらい、また2時間半前に集合して・・・を行えば収益化も望めます機会損失といえば良いのでしょうか。とてももったいない。

なんにせよ早いところチケット難民問題や転売対策を講じなければ、「新規ユーザー」を獲得することは無理になるでしょう。せっかくのコンテンツが近くにあるのに「明日はサッカーに行くぞ!」という家族サービスの選択肢から外れてしまえば、世代交代が起きたときに川崎フロンターレというコンテンツは廃れてしまいます。そうしないためにも運営は一刻も早い対策が求められるのではないでしょうか。

※本記事は筆者の意見を述べたものであり所属する団体の意見ではありません。内容に関し誹謗中傷する場合は、法的措置など適切な処置をとらせて頂きますのであらかじめご了承ください。


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